ガスの供給に不可欠なガス管。
最近、過去に敷設された管の老朽化が目立ってきており、早急な対策が必要とされています。
今月はその管の老朽化により発生しやすい問題の防止法を取り上げました。
なお、ガス漏れや管の破損などに御気付きの際はお近くのガス会社にすぐご連絡下さい。
ガス管の腐食
皆さんがガス管と聞きまして思い浮かべるのはまず何でしょうか?
恐らく、地上に露出しているメーター近くの金属管が最も多いのではないでしょうか。
そして、金属だけに腐食という問題が起こる事があります。
腐食によりガスの漏洩が起きてしまう可能性もあります。
<ガス管設置例>
ガス管と言った場合にご想像される金属管は、一般的にSGP鋼管(白管)と呼ばれる金属管を使っています。
最近では白管以外に露出・埋設ごとに配管用フレキシブル管やポリエチレン管等の
新しい材質による管が開発され、腐食の問題も改善されてきていますが、
経年数の多い家庭用配管では(20年〜30年たった配管)、白管や被覆鋼管が使用されていることが大多数です。
鋼管自体は50年以上の年月に耐えるよう作られていますし、露出部は電気的絶縁処理を施しますので
そう簡単には腐食はしないのですが、特に埋設部においては状況により激しく腐食する事があります。
鋼管の腐食にはバクテリアや土壌に起因する電位差のための自然腐食と、
地中に大量の迷走電流が流れる電食があります。
自然腐食は数十年単位で起きますが、電食は数ヶ月単位で腐食が発生します。
電食で特に発生しやすいのが、鉄道線路に隣接するような配管です。
<鉄道線の電食例>
その原因は一概に言えませんが、線路等より地中に流れた大量の電流が
配管部分で電位差を起こし、それが激しい腐食につながると考えられています。
ですので、鉄道に隣接するような配管時には部材の選択等細心の注意が必要となります。
また電食でなくとも、年数の経っている金属管には自然腐食の可能性もありますので、
ガス会社の定期検査報告がありましたらぜひ結果をよくお読み下さい。
金属管の腐食を少しでも減らすためには、管の土中・壁面・壁貫通面に電気的絶縁を施すのが一番の対策です。
そのため金属管には金属物などを接触させないほうが良いようです。
(配管の絶縁施工等は設備士資格等の有資格者のみが行えます)
ガス管の損傷
腐食とともにガス漏洩の元になるのは、ガス管の損傷です。
ガス管自体は容易に損傷することはありませんが、外力により損傷することがあります。
特に埋設管の場合にその可能性が高くなります。
1.地盤の沈下
2.建築物の自重
3.埋設埋め戻しの不適切による土圧
4.地上の重量物による圧力
5.冬季凍上による圧力
6.外部からの衝撃
7.工事による配管の誤切断
等の理由が破損の主な原因です。
管を破損しない為には、日頃よりガス管の埋設部には上からの無理な力が
かからない様に気をつけることが予防法となります。
当然、工事時にはそうした破損を回避するよう
さまざまな方法で安全策をとっています。
通常は、多少の移動にも耐えられるよう接合部に可とう性をもたせたり、
<可とう性を持たせたつなぎ方>
凍上による破損を避けるため伸縮性の接合部を用い安全性を確保しています。
<伸縮継ぎ手を用いた工法>
そうした中、最も破損の恐れがあるのは規模の大きい地震の場合です。
複合的に破損理由が起こるため特に埋設部において破断することがあります。
地震を感知しますとマイコンメーターによりガスは自動供給遮断されますが、
供給復帰後も漏洩遮断するようですと、管の破損が起こったことも考えられます。
最近では、こうした破断を防ぐため、
変動に強いガス用ポリエチレン管が採用されることも増えてきました。
このように、ガス管工事では万全の施工を行ってはおりますが、
長期の期間には腐食・損傷というアクシデントが起こる可能性があり、
また日頃の簡単な予防法で少しでも長持ちさせられることがお解り頂ければと思います。
もし、ガス漏れやガス管の破損に気が付いた時にはお近くのガス会社までご連絡を。
(2002.8.1)
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