第132アファームド小隊
・・・俺は何のために戦い・・・そして誰のために戦っているのだろう・・・
「おい・・おいっ!エース少佐!・・・ブリーフィング中にぼーっとしているとは・・・
ずいぶんと余裕があるな,えっ!」
「すみません,隊長・・・ちょっと考え事をしていたもので・・・・本当にすみませんでした」
「・・・まぁいい!それではもう一度作戦の確認をするぞ・・・
我が第132アファームド小隊は,明朝4:00敵RNA前線基地を攻撃する。
敵兵力は・・・サイファータイプ2機・テムジンタイプ3機・ボック・・・これはグリスだな・・
5機・・・・そしてライデンタイプ・・・4機」
「ヒュ〜!そいつはすげえ!・・・何でこんな辺境の前線基地にライデンが4機もいるんだよ?」
「さぁな・・・敵さんには敵さんの都合・・・って物があるんだろう。
おい,デビット少佐・・・ライデンタイプと聞いて怖じ気づいたか?」
「ははっ!隊長,こいつがそんなタマかよ・・・きっと真っ先に突っ込んでいくぜぇ」
「おいエラン・・・そりゃ無いだろ。
・・・まぁ,絶対に突っ込むだろうけどよ」
「・・・しかし隊長,その兵力相手にうちの小隊だけで攻撃を仕掛けるんですか?」
「ボブ少佐,いいところに気がついたな。
さすがに百戦錬磨の我が小隊でもこの兵力相手に・・・というのはちょっときついな」
「よっ!さすがバトラーに乗らせたら敵なしのチャーリー隊長ですな,はははは・・・
百戦錬磨と来たか・・・・」
「からかうなよ・・・エラン少佐・・・」
「すると・・援軍が?」
「そうだエース・・・こちらの兵力は・・・サイファー2機・グリス−ボック6機・・・
ほほう,こちらもライデンが出るぞ・・・しかも4機・・・そして我が小隊だ」
「ずいぶん豪勢ですね」
「まったくだぜぇ・・・いったい何があるって言うんだ?この基地に・・・・」
「さあな?ただ・・・これだけの規模の部隊が動くんだから・・・・何かあるんだろうな」
「余計な詮索はするな,デビット,エラン・・・
と言いたいところだが,私も聞いていないんだよ・・・・」
「使えない隊長だぜ〜」
「悪かったな・・・・で,今回の任務だが・・・・
後続部隊のため,前線の攪乱及び進入路の確保だ・・・」
「けっ!やはりライデンに乗るエリートさんは違うねぇ・・・
自分たちは後から来て,美味しいところを持っていく・・・と」
「そう腐るなデビット少佐・・・
それとも何か?おまえさんは後ろから攻撃する方が楽しいのかい?
近接戦闘マニアのくせして・・・」
「隊長,遠距離攻撃が好きならバトラーに乗ってませんて。
後方射撃はエランたちストライカーに任せますよ」
「何言ってやがる・・・
俺達は,遠距離戦だけじゃないぞ・・・腰のナイフがその証だ・・・
なぁ,ボブ少佐」
「確かに・・・アファームドに乗っている奴は,大なり小なり
近接マニアですね・・・」
「違いねぇ!俺達はマニアの集まりなのよ」
「さて・・・そろそろおしゃべりは飽きたかな・・・みんな。
ブリーフィングは終了する。
ところで,今回のおごりは誰だ?」
「私です・・・」
「エースか。みんな!今回はエースのおごりだ!生きて帰ってきたらエースを破産させるほど
飲むぞ!」
「勘弁してくださいよ・・・・」
「はは・・・冗談だよ。いつものでいいよ。
じゃぁ,しっかり寝ておけよ・・・・解散!」
「さっきはどうしたんだ?ぼーっとしていて・・・・珍しいな」
「ボブか・・・まぁちょっと考え事をな・・・
ところで,お前はこの戦争について考えたことがあるか?」
「・・・いきなりだな。まぁ少しは・・・な」
「この戦争・・・何のためのにやっているんだ?俺達・・・・」
「DNAのためだろう・・・・違うのか?」
「・・・・そうじゃない・・・この戦争の意味だ・・・
もしもだよ・・・俺達DNAが私利私欲のために戦っているのであれば・・・
正義は我々には無いよな・・・すると・・・何のために・・・」
「なぁエースよ・・・俺はこう考える・・・・
確かに,この戦争はいわば会社の内輪もめだ・・・どちらが正しいなんて
判らない・・・
どちらが正しいかなんて・・・所詮後の人たちが考えることさ・・・
俺達じゃあまりにも主観が入りすぎている・・・客観的には物事を考えられない・・・
だから,今やっている行動に自信を持つしかないんじゃないか?
信念・・ってやつか。それがあればきっと後の歴史も味方してくれるさ」
「・・・・・・」
「こう考えないと,やってられないさ・・・・戦争なんて。
あまりにも馬鹿馬鹿しい行為だからな・・・
とりあえず,今自分の取っている行動を恥ずかしく思う必要はないさ」
「・・・そうだな・・」
「おいおい,余り戦場で悩むなよ・・・死に繋がるぜ・・・・
お前が死んだら,生還記念のパーティーの酒代,誰が出すんだ?」
「ふふ・・・・まぁ死なないようにするよ・・・」
「じゃぁな!よく寝ておけよ」
「ああ・・」
そうだな・・・この戦いの善悪を決めるのは,俺達じゃない・・・・・
「歴史」という大きな流れなんだ・・・
だから今は精一杯生きよう・・・たとえそれが「歴史」に否定されても・・・
−終−